〜急性期ケア専門士受験者必見!〜受験直前に確認しよう!絶対に出題されそうな問題 〜初期対応編〜

急性期ケア専門士

先日、ブログのアクセス数を確認していると、受験が近くなったからか急性期ケア専門士の記事が一気に上昇していました。注目の高さが伺えます!

見てくれている方がいるということで!今回は、絶対に勉強したほうがいいand出題されるでしょう問題をpick upしていきたいと思います。(本試験の時の記憶を辿りながら記事作成します!)

見たい方も多いと思うので、作成次第、少しずつUPしていきます。

そして、私が問題を作成する立場だったら『ひっかけ』で出題するかも。と思うポイントも含めご説明していきます。

🫘豆知識🫘では、より深い理解を得られる様に実際の臨床像や、より詳細な知識の解説をしています。『急性期専門士の試験の情報だけ知りたい!』という方はスキップして見てください。

りーぬ
りーぬ

2024年は5月10日からですね!

勉強時間が取れず、焦っている方もいるかもしれませんが、この記事でポイントを押さえていってください♪

皆さんの、合格を祈っております。

急変時初期対応についての問題

一次救命処置について

ここについては、有無を言わさず、絶対に出題されます。(と、予測します。)

基本のBLSはもちろん、特に在宅や院外・院内で使用するであろうAEDの使用時の注意点について。ここについては、何問か問われた記憶があります。因みにどんな問題だったかというと…

 AED 

パッド貼付時の注意点

  • 金属(アクセサリー等)が付いている場合どうする?
    A:パッドと接触しない場合は、外さなくてOK
  • 全身が濡れている場合どうする? 
    A:パッドを貼付する部分(胸部全体)を拭いてからパッドを貼付する。
      ※ひっかけポイント:全身を拭く必要はありません
  • 体毛(胸毛)がある場合どうする?
    A:カミソリがある場合は、除毛する。ない場合は、パッドを密着させ勢いよく剥がし胸毛を処理した後、新しいパッドを使用する。
  • ペースメーカーがある場合はどうする?
    A:ペースメーカーを避けて貼付する。
  • 貼付薬がある場合はどうする?
    A:貼付薬を剥がしてタオルで拭いてから貼付する。
  • 妊婦の場合はどうする?
    A:胎児には影響を及ぼさない。普通にAEDを行ってOK
  • 小児の場合はどうする?
    A:乳児・8歳未満の小児 → 小児用パッド使用する。
     小児用パッドがない場合 → 成人用パッドを使用する。(パッドが大きすぎる時は心臓を挟むように胸部と背中に貼付する。成人用パッドを切って使用してはいけません

というような感じだったと、記憶しています。AEDについては上記を覚えておけば、とりあえずは大丈夫ではないかと思います。

あとは、一般的なBLSについての知識が問われると思います。

絶対に覚える項目を下記に示します。受験前までには、解答を見なくても答えられるようにしておきましょう。

 BLS

胸骨圧迫

  • 胸骨圧迫の回数・テンポは?
    A:100〜120回/minのテンポ(『アンパンマンマーチ』のリズムです。私は、少しゆっくりにしたMr.Childrenの『HANABI』を頭の中で流しながら胸骨圧迫しています。笑)
    圧迫が早すぎると、圧迫者の疲労のため深さが減少し質の高いCPRができないため、100〜120回/minが適切なテンポとなります。
  • 胸骨圧迫する位置は? 
    A:胸骨の下半分(乳頭と乳頭を結ぶ真ん中くらい)
    ※ひっかけポイント剣状突起』は臓器障害の可能性があるため、圧迫してはいけません問題の選択肢の中に出てきそうな気がします!
  • 胸骨圧迫する深さは?
    A:成人…5cm 圧迫後は完全に、胸壁を元の位置に戻すように患者にもたれ掛からない
     乳児…約4cm(前後径の3分の1程度)
    🫘 豆知識 🫘  なぜ、圧迫を完全に元に戻す?
    必ず圧迫した分を戻すこと→『リコイル』と言います。心臓に血液を十分に充満させるため・冠動脈に十分な血液を循環させ、心筋血流を増加させるために重要な手技です。
  • 胸骨圧迫の最大中断時間は?
    A:10秒
  • 妊婦への胸骨圧迫はどう行う?
    A:用手的に腹部を左方移動させる。(用手的子宮側方移動:LUD)他は成人と同様。蘇生した場合は、左側臥位とする。これは、胎児の重さで下大静脈の圧迫され、心臓への血流を妨げないようにすることが目的です。

人工呼吸

  • 頭部や頚部の損傷が疑われる場合の気道確保方法は?
    A:下顎挙上法。乳児では、頭部が大きいため中間位(スニッフィングポジション)を越えて後屈すると気道を閉塞させてしまう可能性があるため後屈はしない。
    スニッフィングポジション…仰臥位で肩の下にタオルを入れ、外耳孔と肩の上部が同じ高さになるポジショニングのこと。
  • 一回の人工呼吸にかける時間とタイミングは?
    A:成人…6秒に一回(1分あたり10回)、1秒かけて人工呼吸を行う。
      乳児…20〜30回/分1秒かけて
  • 胸骨圧迫と人工呼吸の割合は?
    A:成人…胸骨圧迫:人工呼吸=30:2
      乳児…15:2 
  • 人工呼吸時の過換気となった時の、合併症・事象は?
    A:①静脈還流の低下による蘇生率低下 ②胃膨満に伴う嘔吐による誤嚥 ③過換気による肺損傷 の3つです。
    ※ひっかけポイント:成人のバッグバルブマスク(以下:BVM)の全容量は約1500mL、ペットボトル3本分です。私たちの成人の肺の容量は多くても500mL程度です。そのため、BVMを押す目安は3分の1〜2程度です。それ以上押すことで、過換気を惹起する可能性が高くなります。

実際にBLSを行う際は、もっと様々な手技や手順を理解する必要があります。

今回は、急性期ケア専門士試験に向けての知識になるので端折った部分もありますが、以上のことは絶対に押さえておきましょう。

二次救命処置について

院内では、BLS(一次救命処置)と同時に二次救命処置(ACLS)も進行していきます。

ポイントとしては、BLSに薬剤の使用原因検索・治療の開始が加わるということです。

昨年の模擬試験でも多く出題されていましたが、実際の試験では多く問われなかったような気がします。

一応、アルゴリズムは絶対に覚えた上で、下記は押さえておきましょう。

 ACLS

心停止波形の種類と波形別の対応

  • 除細動が必要な心電図波形は?
    A:心室細動(VF)・無脈性心室頻拍(pulselessVT)のみ。VT波形でも、脈がある際は対応が異なるのでしっかり、頸静脈を触知して確認します。除細動(AED)が到着直後すぐに、除細動(通電)を行います。(わからなかった方は、必ずアルゴリズムを確認しましょう
  • 静脈路を確保直後に、アドレナリンを使用する波形と、投与間隔は? 
    A:心静止(Asystole)・無脈性電気活動(PEA)のみ。投与間隔は3〜5分。(わからなかった方は、必ずアルゴリズムを確認しましょう
  • 除細動の出力数は?
    A:二相性除細動器の場合 → 初回エネルギー量:120〜200J  2回目以降:初回と同等または、より大きいエネルギー量 
     単相性除細動器の場合 → 360J 
    ※ひっかけポイント:ここはかなり狙いやすい問題になると思います。しっかりと、単相性なのか二相性なのか何回目の除細動なのかを問題文を読みましょう。
    🫘 豆知識 🫘 なぜ、出力数が違う?
    ・単相性…二つのパッド間(左胸部パッド→右胸部パッド)を、一方向に電流が流れる。(第一相波のみ)
    ・二相性…双方向から電流を流れる。(第一相波と第二相波があり、一度の除細動で心臓には二回通電される)
    だから、二相性の方が出力エネルギーが少ないのです。二相性では新たなVT/VFを誘発しにくいため、自己心拍再開(ROSC)率も高い傾向にあり、最近では多くの除細動やAEDが二相性になっています。初めて対応する場所の場合、その除細動器が単相性か、二相性かわからない場合は『設定可能J(ジュール)数』を見ます。単相性の場合は360Jありますが、二相性では270Jまでしかないものが多いのですぐにわかります。

  • 除細動実施時の確認項目は?
    A:①自分よし…自分の体が患者から離れているか。 ②あなた(換気担当)よし…換気担当が離れているか。離れていた場合、BVMを換気担当者の後ろに回しているか。 ③周りよし…周囲のメンバーが離れているか、頭の先からつま先まで確認しましょう。
    🫘 豆知識 🫘 換気者の体の後へBVMを回す必要性とは?
    一次救命処置時は、高流量で10〜15L程度の酸素を投与します。目には見えませんが、BVMのマスクからは酸素が勢いよく出ています。患者側へ向けたままだと、患者へ降りかかるように酸素が体へ触れている状態となってしまい、発火する危険性があります。そのため、必ず酸素は後ろに回しましょう

使用薬剤について

  • アドレナリンの一回投与量は?
    A:1mg アドレナリン1mL(1A)=1mg
  • アミオダロンの投与量は?
    A:1回目(3回目の除細動後すぐ)300mg 2回(5回目の除細動後すぐ)150mg
      アミオダロン3mL (1A )=150mg アミオダロンの投与は2回
  • アミオダロンがない場合の代替えとなる薬剤は?
    A:リドカイン

6H6T

  • 心停止の原因として考えるべき疾患は?
    A:下記疾患を想定し、心停止アルゴリズムを実施しながら原因検索・治療を考慮しましょう。
りーぬ
りーぬ

ここについては、やはり除細動の使用方法についてやアミオダロンの使用時の注意点など、出題しやすいような気がします。

直前は、もう暗記しかありません!笑

あとは、アルゴリズムを頭に叩き入れておきましょう。

蘇生チームについても問われる可能性大です!チーム医療については、下記記事からチェック!

急変時初期対応『体系的アプローチ』『ABCDEアプローチ』

これは、絶対に受験するあなたに役立つアプローチ方法で急性期、慢性期、回復期など場所を選ばずに使える患者さんの観察方法です。

なので、明日の臨床から患者さんの観察時に、意識して実践していきましょう。

患者の観察は下記の『体系的アプローチ』に沿って行います。

ここでは、しっかりと問題文を読み解くことが重だと感じた問題が、多かった気がします。

すでに学習した方は理解していると思いますが、救急患者を受け入れる際には必ずこのアプローチ方法で観察・評価を行い、治療につなげていきます。

それでは、上記の図について少し詳しく説明していきます。

解説不要な方は、「一連を通して重要なこと」「体系的アプローチで抑えるべき項目」「ABCDEアプローチで抑えるべき項目」に飛んでポイントをしっかりと掴みましょう。

問題としては、文章問題で問われることが多いので、しっかりとアプローチとアセスメントの順番を守ることが重要です。

体系的アプローチ・ABCDEアプローチとは

一番最初に、第一印象で『この患者に対して、すぐにBLSを開始しないといけない状況か、否か』を判断します。

ここでは、医療機器(モニターや血圧計)を用いずに『BLSが必要かどうか』を判断します。そのため、一般的には15秒以内で行うように提唱されています。

第一印象では、外観(意識)・呼吸・循環について五感を用い、評価をします。

ここで、異常がある場合は一次評価に進まずBLSを開始します。

次に、第一評価です。第一評価では『生命の危機を及ぼすような状況が生じていないか、あった場合は、どこに異常が生じているのか。』を評価し、生命を維持するために、全身状態を安定化していきます。

その評価・安定化のための、観察のアプローチとして『ABCDEアプローチ』を用いて評価を行います。

ここでは、医療機器(モニターや血圧計など)を用い、第一印象よりも明確に評価をしていきます。A(Air way):気道 → B(Breathing):呼吸 → C(Circulation):循環 → D(Dysfunction of central nervous system):意識 → E(Exposure):体温・外傷の順番で評価していきます。

簡単に言うと、全て重要な項目ですがAが一番優先度が高く、Eが一番優先度が低いということです。

なので、基本的にはA→B→C→D→Eの順番で、具体的に医療機器を用いて数値化した情報と身体所見を揃えて評価(アセスメント)を行います。

実際には話している時点で一緒にDの評価や、外観からEの評価もできてしまいます。ですが、重要なのは異常があった場合は、A→B→C→D→Eの順番で患者の安定化を図らなければ生命維持はできないということです。

例えば、発声がある(A:気道開通…正常)が呼吸回数40回/分 SpO2 80%(B:呼吸状態…異常)であり、正常値から逸脱している場合は、循環の評価には進まず呼吸の安定化を図るために酸素投与や、気管挿管を行い呼吸状態・酸素化を安定化させる必要があります。その後にC:循環動態の評価に移行します。

簡単に言うと、生命維持をするためにはB:呼吸状態が安定していない状況で、C:循環動態の評価に移行しても意味がありません。

なぜなら、AやBの異常がある場合は低酸素状態となり、Dの異常も生じるからです。A・Bが異常で低酸素の場合、Cが改善しても全身に送られるのは、低酸素状態の血液のため、Dの異常や臓器低酸素症は改善しません。

反対に、B(低酸素)の異常が原因で、Dに異常(低酸素脳症による意識障害)をきたしている場合は、Bが改善することでDの改善が見込めます。

なので、ABCDEアプローチで評価を行い、治療・安定化を図っていくことが重要なのです。

これは、生命維持サイクルに起因します。より詳細に気になる方は調べてみてください。
(いつか記事を書けるように時間をつくりますm(__)m すぐに記事を出せなくてすみません。)

次に、二次評価です。

二次評価では、より詳細な病態の把握をしていきます。必ず、一次評価で『生命の危機を及ぼすような、危機的状況』を安定化させた後に実施します。

ここでは、より詳細な病態の把握のための問診による情報収集や、他に害を及ぼしている病態がないかを、頭の先から足の先まで系統的に評価を行なっていきます。

例えば、腹痛で来院した場合…痛みの程度はNRSでどのくらいか?痛みの間隔は?痛みの移動は?いつからの発症?随伴する症状は?などの情報を収集していきます。

情報収集については、「体系的アプローチで抑えるべき項目」をご参照ください。

そして、最後に三次評価です。

三次評価では、二次評価で得られた情報をもとに焦点を絞った検をしていき、評価(診断)をしていきます。

例えば、腹痛で来院した場合エコーや採血、腹部のレントゲンやCTを実施する段階となります。

一連を通して重要なこと

体系的アプローチを説明してきましたが、実際の臨床では救命のために、情報や身体所見・エピソードから一次評価・二次評価・三次評価を同時進行で行う場合もあります

例として、20分以上の胸痛で救急搬送される患者であることが、搬入前の情報でわかっている場合は、搬入後一次評価と同時に、三次評価である心電図の検査を行います。

外傷の場合も、搬入後に一次評価と三次評価となるFAST(外傷患者の体内での出血の有無を調べるエコー検査)を同時進行で行います。

ABCDEアプローチでも、人員がいるのであれば一人が気管挿管の介助をしている間、A・Bが安定していなくても同時進行でCの評価を行っていきます。

このように臨床では、人員がいる場合や症状やエピソードから想定される生命の危機を予測できる場合は、できるだけ早急な救命に繋げられるよう、同時進行で行うことも重要であることを覚えておきましょう。

しかし、ABCDEでの安定化は必ず順守しなければならない事項であることだけは、混同しないようにしてください。

そして、一次評価、二次評価、三次評価のどの段階においても、常にABCDEは繰り返し評価し続け、異常が生じた場合にはABCDEの順番で安定化を図ります。

りーぬ
りーぬ

今回受験される方の中に、在宅の方や慢性期の病棟の方、救急隊さん等もいらっしゃると思います。

救急の搬入時には、このように評価と治療が進んでいきます。

患者さんが『どんな経緯で急変・救急搬送される状態に至ったのか』という情報は本当に大切で、それを搬入前に知ることができるだけで、我々の準備やどのように診療を進めるかが決まってきます

ですので、ぜひ救急車内や救急車を待つ時間があったときは、下の項目で説明する二次評価時に行う問診を覚えて実践してみてください。
その情報があるだけで、よりスムーズな患者さんの救命に繋げられます。

みんなで協力して、患者さんの命のバトンを繋ぎましょう♪

体系アプローチで抑えるべき項目

どのような順番で、何を行うのか、何を評価していくのかを覚えていきましょう。

気づき

  • 急変の前兆っていつからどんなことが起こっている?
    A:心停止となる60〜80%の症例で、6〜8時間前に何らかの異常(バイタルサインの逸脱、呼吸・循環・意識の変化)を認める。

第一印象

  • 何秒かけておこなう?
    A:数秒で行う。上記にも記載しているように、実際は具体的には15秒以内に第一印象を評価を実施します。急性期ケア専門士のテキストには具体的な数字が記載されていません。試験では、昨年は『数秒』でも正解となっているので覚えておきましょう。
  • 第一印象に異常があった時はどうする?
    A:BLSを開始する
  • 気道開通の評価は何を観察する?
    A:発声(=気道開通)、胸郭運動(陥没呼吸=気道閉塞)、呼吸に伴う異常音(鼾音・ストライダー=気道狭窄)これらの有無。これらがある場合は緊急事態と判断し、用手的気道確保を実施する。
    ※ひかっけポイント:気道の評価と呼吸の評価は違います。必ず先に気道の評価をしましょう。
  • 呼吸状態の評価は何を観察する?
    A:早い(=頻呼吸)、遅い(=除呼吸)、努力呼吸
    ※ひっかけポイント:正確な呼吸回数は一次評価で実施します。ここでは、実施しない!

  • 循環状態の評価は何を観察する?
    A:顔面蒼白冷汗冷感チアノーゼ脈触知速さ強弱(徐脈、頻脈、低血圧)
    ※ひっかけポイント:正確な脈拍数は一次評価で実施

  • 外観(意識)の評価は何を観察する?
    A:興奮しているか、ぐったりしているか、苦悶様か、視線が合うか、傾眠傾向か、言動はどうか、指示に従うか。ここで、少しでも普段と逸脱した場合には異常であると判断できる。
    ※ひっかけポイント:詳細な意識レベルの評価(GCSやJCS)の評価は一次評価で実施。

一次評価

  • 第一印象で異常があった場合も、ABCDEアプローチは行う?
    A:行わない。直ちにBLSを開始する。
  • 一次評価はどの順番で評価する?
    A:気道(A)→ 呼吸(B)→ 循環(C)→ 意識(D)→ 体温・外傷(E)
  • 一次評価はどのように評価する?
    A:器具(医療機器:モニター、血圧計など)を用い、具体的な数値データ(血圧やSpO2、HRなど)と身体所見などの情報を収集し、フィジカルアセスメントを行う。

二次評価

  • 二次評価って何をする?
    A:主に問診全身の身体診察を行う。更に、これまでの通院歴がある場合は、カルテ内の情報も合わせた評価を行う。漏れがなく情報収集を行えるように開発されたツールを下記に示す。

まずは、『SAMPLE』です。これは、広く問診時に使用されているツールです。頭文字をとっての名称で、とても覚えやすいです。先を見越した問診もできるため、とてもお勧めのツールです。
緊急手術になっても、この項目を網羅しておけば、手術室搬入までがスムーズになります。

もう一つ、急性期ケア専門士のテキストには記載がありませんが、問診ツールで知られている『GUMBA』をご紹介します。こちらは、上記の『SAMPLE』の日本語Verとなっております。英語が苦手な方は、こちらで覚えましょう。

次に、『LQQTSFA』です。急性期ケア専門士のテキストに記載されているため載せます。りーぬ自身は使用したことなく、今回初めて知りました。笑
検索しても出てこなかったのですが、こちらは『疼痛の問診』の際に使用するものだと思います。

最後は、疼痛の性状の評価ではよく使われている『OPQRSTT』です。これはアルファベットの綴りなので、個人的には上記のLQQ~?よりは、遥かに覚えやすいと思います。

三次評価 

  • 三次評価って何をする?
    A:二次評価で得られた情報をもとに、フォーカスを絞った検査(採血、レントゲン、エコー、CTなど…)を実施する。
ABCDEアプローチで抑えるべき項目

実際に、第一評価の中で用いるアプローチ法です。ここで、具体的な異常の数値化や、身体所見の情報を収集するアプローチ法です。

数値だけでなく、身体所見も全て含めてアセスメントを行います。

重要なことは、ABCDE全ての情報が揃ってからアセスメントするのではなく『Aが正常であれば、Bに進む』という様に、一つ一つの項目を順番に評価し、異常があった場合は次の評価には進まず、その項目を安定化させることがとても重要です。

A:気道

  • 何を評価する?
    A:気道が①開通しているか②閉塞しているか③狭窄しているかを、評価する。
     
  • どのよう観察し、評価するか?
    A:『①見て・②聞いて・③感じて』評価をする。
    ①見て胸郭の挙上の有無:挙上があれば気道開通を示す。
    ②聞いて異常音の有無:狭窄音(ストライダー)気道浮腫、鼾音は舌根沈下、痰の貯留音は上気道の狭窄または閉塞を示す

    ③感じて空気の流れの有無:口元に手をかざし、空気の流れの有無から気道の開通を評価する。(実際は、コロナの関係で最近はあまり推奨されていませんが、テキストに記載があるため、押さえておきましょう。)

    これらの評価から、異常があると判断した際は、緊急事態であると判断し、対応します。
     
  • 異常時の対応はどのように行う?
    A:器具がなくてもすぐにできる方法である、用手的気道確保(頭部後屈顎先挙上、下顎挙上法)を実践する。
    その後(救急車が到着後や、病院到着後)、口腔・気管内吸引(誤嚥・分泌物貯留がある場合)、口咽頭・鼻咽頭エアウェイ(舌根沈下時)、気管内挿管・外科的気道確保(気道浮腫時は気管内挿管は困難である可能性が高いため、クイックトラックなどの挿入か、輪状甲状靭帯切開の準備)を行う。
    ※ひっかけポイント:頚椎損傷や頭部外傷のある場合の気道確保は、頭部後屈顎先挙上法は禁忌です。下顎挙上法にて気道確保します。

B:呼吸

  • 何を評価する?
    A:急性呼吸障害(呼吸の仕事量が増加している状態)急性呼吸不全(呼吸仕事量が増加しているが、酸素化を維持できていない状態)
    ここについては、『急性期ケア専門士試験ってどんな試験?』の記事にも記載した、急性期ケア専門士独自の言い回しが入っています。普段の臨床や定義として「急性呼吸障害」という言葉は聞いたことがなく、調べてもHITしません。私的な解釈ですが「何らかの原因により、急性呼吸障害が継続し、代償が破綻した場合に至るのが、急性呼吸不全」という解釈で良いと思います。
    因みに、正しい急性呼吸不全の定義は『PaO2<60torr(=SpO2<90%)です。
     
  • どのよう観察し、評価するか?
    A:『①見て・②聞いて・③回数・④SpO2』評価をする。
    ①見て…呼吸の深さ、リズム、胸郭挙上の左右差、努力呼吸(呼吸補助筋の使用の有無)
    ②聞いて…呼吸音の左右差、副雑音
    ③回数…正常値(8〜22回/分)からの逸脱

    ④SpO2…94%以下。 ※最近では、SpO2は98%程度を目標とし管理することが推進されています。(根拠としては、SpO2:100%で管理していると、急性に状態が悪化してもSpO2に悪化は現れず発見が遅れるためです。SpO2は98%あれば、十分な酸素化は得られていると考えて良いとされています。今後、また詳細な呼吸管理目標について記事UPしていきます。)
     
  • 異常時の対応はどのように行う?
    A:酸素投与(酸素投与1L上昇するごとに通常は16torr(FiO2 0.01につき4torr)程度上昇すると言われています。)体位調整(ヘッドアップ・前傾起座位など)、BVMでの補助換気気管挿管の準備

C:循環

  • 何を評価する?
    A:①血圧 ②心臓のポンプ機能(心臓自体の状態)末梢の循環の状態(循環血液量・分布の状態)
     
  • どのよう観察し、評価するか?
    A:①血圧…血圧測定にて評価。収縮期血圧(以下:sBP)≦90mmHg通常のsBPより20mmHg以上の低下があった場合、異常とする。
    心臓のポンプ機能頸静脈の怒張の有無、全身の浮腫の有無、脈の触知にて不整脈(リズム不整)の有無脈の強さ・早さを観察する。頸静脈の怒張は右房圧(心臓の入口)の上昇(吸気時の怒張=クスマウル兆候も含む)示唆し、何らかの原因(PE、肺高血圧、心不全、心タンポナーデ、気胸、心膜炎など)による鬱滞の可能性があり、徐脈(60回/分以下)や不整脈があった場合もポンプ機能の異常の可能性を考慮する。
    末梢循環顔面蒼白の有無冷感の有無冷汗の有無虚脱(目がうつろになったり、生あくびの出現反応が乏しくなる状態)の有無湿潤の有無チアノーゼの有無CRTの延長(2秒以上)の有無を観察する。これらがあった場合は、末梢循環不全・ショックが生じている状況であると捉える。
    この場合、①血圧が正常範囲内であっても、何らかの循環の異常が起こっているが、末梢の血管収縮や交感神経の興奮などの代償により①が低下しないよう、頑張って末梢循環を維持している状態となる。この状態のことを、代償性ショックと言う。『実際の①は低下している』と考えるべき時期である。これらの代償が長時間持続することにより、身体は疲弊する。そのため、代償が困難となり①が低下し始める時期を非代償性ショックと言う。そのため、①の評価に依存せず身体所見をしっかりと評価することが重要であり、代償性ショックの時期に異変に気づくことが救命の鍵となる。
代償性ショックと非代償性ショックのイメージ
  • 異常時の対応はどのように行う?
    A:準備、使用物品…酸素療法(O)モニター(M)輸液ルート確保(I)を準備し実施する。臨床での対応として、よく言われるのが『さ(酸素)る(ルート)も(モニター)ちょう(超音波:エコー)しん(十二誘導心電図)き(胸部X線)』を準備すると言われます。実際には、Cの異常から使用するのではなく、A・Bの異常から使用しましょう。そして、酸素投与については様々な見解(AMIの場合、94%以下で酸素投与した方が予後良好という研究結果があった。など)があるため、医師に指示を仰ぎましょう。酸素も薬剤という意識を持つのが重要。(詳しくはInstagramの酸素中毒をご覧ください。)
    体位調整…ショック体位(=下肢挙上)15〜30cm下肢挙上する。
    🫘 豆知識 🫘実際の臨床対応
    今回のブログは、急性期ケア専門士試験向けにテキストを参照しながら作成しています。(時折、りーぬの主観も入っていますが…)当試験の循環の異常時の下肢挙上ですが、心不全の際は静脈灌流が増加するため、心負荷を増大することとなります。頸静脈の怒張など、鬱血のサインがある場合は禁忌ではありませんが、控えた方が良い場合もあることを念頭におきましょう。また、下肢挙上をして血圧に影響を及ぼす時間は7分未満と言われています。一時的に、脳血流を増加させるために必要な処置であり、ショックの根本的な治療ではないため、注意しましょう。

D:意識

  • 何を評価する?
    A:切迫する脳ヘルニア(頭蓋内病変)の兆候がないか意識レベルの変化
     
  • どのよう観察し、評価するか?
    A:①意識レベル(JCS・GCS) ②瞳孔の所見 ③低血糖症状の有無と血糖評価 ④CPSS(シンシナティ病院前脳卒中スケール)麻痺評価
    ①意識レベル(JCS・GCS)…必ず評価する、意識レベルです。JCS 30以GCS8点以下(切迫するDとも言われるが、急性期ケア専門士試験では切迫する脳ヘルニア兆候と言われます)観察中にGCS2点以上の低下脳ヘルニアを起こしている可能性があります。なので、瞳孔所見の確認を早期に行います。
    実臨床では、意識障害の際の評価では、JCSよりGCSを用いる方が、後に継続して詳細に評価しやすいです。なので、覚えている方はGCSで評価をした方が良いですが、『算出に時間がかかる』『覚えられない』というデメリットもあるため、緊急で評価できない時は、JCSで評価しましょう。私の覚え方は下記です。ぜひ、覚えましょう!試験では出る可能性大です。(即席で書いたので、字・絵が下手くそでごめんなさい🙇‍♀️)
    ②瞳孔の所見…緊急時の確認の意味は、脳ヘルニアを来していないか、頭蓋内病変の可能性があるか(異常があった場合は、どこの障害か)を迅速に判断できる、一つの重要な所見です。
    ③低血糖症状の有無と血糖評価…意識障害の鑑別の中で使用されるのが、AIUEOTIPSです。その中で、一番早期に実施できる検査が、血糖測定です。低血糖があった場合は片麻痺を生じる可能性もあるため、意識障害の場合は一番最初(血ガス評価とともにでも)に確認しましょう。
    ④CPSS(シンシナティ病院前脳卒中スケール)麻痺評価…これは、1.顔面の弛緩(左右差) 2.片腕の居城保持困難 3.言語の異常(呂律障害など)の中で、1つでも該当した場合72%3つ揃った場合85%以上の確率で脳卒中を疑うことができる評価ツールです。その名の通り、病着前の救急車内でも簡単に評価できるため、救急隊から明確な情報がない場合は、こっち側から積極的にこの3つの情報を聞き出すことは、準備の観点からも重要です。
  • 異常時の対応はどのように行う?
    A:テキストでは、『さるもちょうしんき』と同様の処置とされています。それは、必ず行うことであり、実際では、気道確保を行うことが最優先となります。嘔吐痕などがあった場合(頚部損傷が状況より否定される場合のみ)は、再嘔吐時の誤嚥予防で、側臥位にするなど状況によって変わってきます。

E:体温・外傷

  • 何を評価する?
    A:体温異常(高体温・低体温)の有無、外傷の有無
      
  • どのよう観察し、評価するか?
    A:体温は、最初は腋窩(表面温度)で測定します。しかし、低体温があった場合には膀胱温や直腸温を測定することが好ましいため、準備をしておきましょう。他にも、悪寒戦慄(シバリング)や徐脈、発汗、皮膚温冷感など、他の所見からも体温異常を察知できるため意識して観察していきましょう。
    また、重症な偶発性低体温として搬送され32℃以下の場合、J波が出現することがあります。搬送前のエピソードから、偶発性低体温の可能性が考慮される場合には心電図の観察も重要です。
     
  • 異常時の対応はどのように行う?
    A:偶発性低体温や外傷の際は保温に努めます。

    🫘 豆知識 🫘 臨床で考慮する点 〜復温時の合併症〜
    ①致死的不整脈の出現…重症な低体温をきたしている場合、利尿が促進される(寒冷利尿)・血中の電解質が細胞内へ移動するため低カリウム血症を生じます。その状態から急激な復温をすることにより、細胞内のカリウムが血管内へ移動し高カリウム血症となることで、致死的不整脈が出現する可能性があります。そのため、血ガス心電図変化を観察しながらゆっくり(1時間あたり0.5〜1℃程度)と復温することが重要です。
    ②Rewarming shock…低体温時は体温の放散を防ぎ、深部体温を上昇させるために末梢の血管が収縮します。その影響もあり、(a)中心循環血液量が過量と判断し抗利尿ホルモン(バソプレシン:ADH)の分泌が抑制され、利尿が促されます。また、末梢血管の収縮は腎虚血を惹起し、二次的に(b)尿細管障害が生じ、ADH不応性状態となり、更に利尿が促進されます。これらの原因により、生体内の循環血液量は減少している状態となります。しかし、末梢血管が収縮しているため客観的な血圧の低下は見られません。この状態で保温を開始し、末梢血管が拡張し始めると、血管内の面積が拡大するため相対的な循環血液量の不足が露わとなり、客観的な数値的にも『血圧が低下』します。この現象をRewarming shockと言います。予防として、加温した補液を行いながら復温を実施することが重要です。
    ③After drop…外からの保温(特にここでは、能動的外部復温:ウォーマーや電気毛布など)を行うことで、体温が回復する過程で末梢血管が拡張します。その影響で、体表の冷たい血液が深部に移動し、再度深部温度が低下することで致死的不整脈を惹起する現象です。予防として、重症の場合は、能動的外部復温と能動的内部復温(加温輸液の投与など)を同時に行うことで予防することができます。

    今後、低体温について病態から看護についての記事を作成していきます。しばしお待ちを…。

まとめ

今回は、初期対応について出題が予想される問題についてのポイントを、時に掘り下げてまとめてみました。

試験の出題の中では、3分の1を占めると思われる領域です。

そして、急性期ケア専門士を受けることで得られる重要な知識が詰まった領域です。意識して臨床で繰り返し実践し、習得することで自分に自信が持てる内容だと思います。

あと少し!頑張りましょう!私も更新頑張ります💪

参考文献

1)一般社団法人日本急性期ケア協会:急性期ケア専門士 公式テキスト第1版(2022年発行).株式会社アステッキ
2)Gaffney FA,BastianBC,Thal ER,et al.:Passive leg raising does not produce a significant or sustained autotransfusion effect.J Trauma 1982;22(3):190-193.

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