ついに試験が開始しましたね。みなさん、準備はいかがでしょうか?
急性期ケア専門士試験の中でも、大半を占め広範囲に出題される《疾患別の問題》について触れていきます。
本当に、本当に、すみません。
結局、急性期ケア専門士試験終了しましたね。
みなさん、出来はいかがでしたか?
振り返りも兼ねて、見てみてください。
疾患別の問題
わかりやすくABCDEアプローチ順に疾患別問題を思い出してみます!
※更新は順不同です。よく出そうな順(循環器、呼吸器、頭蓋内病変など)に随時、更新していきます。
A・B:呼吸器疾患
C:循環器系疾患
ショックの種類
ショックとは、
・収縮期血圧が90mmHg以下
・通常血圧より収縮期血圧が30 mmHg以上低下
のことをショックと言います。
または、収縮期血圧が低下していなくても、『ショックの5P』を満たしている下記の場合は、すでにショックに至っている状況であることを示唆します。
ショックの5Pは、血圧をすぐに測定できない場合(救急搬送されてきてすぐに緊急性を評価したい場合)でも、すぐに評価できる指標でもあります。
ショックの5P … 『それ、きみこ』 と、私は覚えています。
①蒼白…顔面蒼白
原因:中心(重要な臓器)への循環を増加させるため、末梢の血管を収縮させている状況。(ノルアドレナリンを投与している時と同じような状況)=末梢血管を収縮させなければ中心循環を保持できない状況にある。
②冷感・冷汗…末梢冷感、末梢冷感を伴う発汗
原因:末梢血管が収縮している状況。
③虚脱…意識障害、生欠伸
原因:脳血流が低下している状況。詳細な機序は現在でも解明されていません。『生欠伸が多い・あくびが多い』時は脳血流の低下が低下している可能性があることを意識して、他のフィジカルと合わせて観察する必要がある状況。
④脈拍減弱…脈拍の触知が減弱
原因:血圧が減弱しているため、橈骨動脈の触知の強さが減弱している状況。=血圧低下を示している。
⑤呼吸促迫…呼吸回数22回/分以上
原因:循環血液が減少している状況において、酸素を通常通り搬送するためにより多くの酸素を取り込む必要がある状況であることを示す。より呼吸回数を増加させることで、体内の酸素供給に応えようとしている生体反応。
これらの、『ショックの5P』をフィジカル所見で察知した場合、即治療に移行しなければ致死的状態になってしまう可能性があります。
しかし、治療といっても原因がわからなければ適切な治療が開始できません。
そのため、『ショックの5P』を認めた場合は、その患者の背景や疾患なども考慮し下記の『どのショックに当てはまる可能性が高いのか』を考えるための検査や所見を集めることが重要となります。
1)循環血液量減少性ショック
疾患:外傷、骨折、交通外傷、腹腔内出血
血管が破綻が原因で、体外や腹腔へ血液が流出(喪失)することで血液量が減少し、拍出できる血液量が少ない状態。
治療:輸血(RCB+FFP+PC=1:1:1の割合で投与。)、止血(TAE、REBOAや血管焼灼術)
2)血液分布異常性ショック
疾患:敗血症性ショック、神経原性ショック
体内の血液は保たれているが、①血管外に移動しているまたは、②血管の面積が拡大しショックに至っている状態。
①血管外への血液の移動(ARDSを惹起する原因)
全身の血液量は実質は低下していないが、何らかの原因で血管外へ血液が溢流してしまい、血管内の血液量が不足し駆出できる血液が減少している状態。
②血管の面積拡大による血液量の不足(ウォームショックとなる原因)
感染によりヒスタミンの放出や、炎症性サイトカインによる血管内皮細胞の障害が生じ、そこから一酸化炭素(以下:NO)が放出される。ヒスタミンやNOは、血管平滑筋を弛緩させる作用があるため、末梢血管の拡張が生じ血管内の面積が拡大。それにより、相対的に血管内の血液量が不足することでショックに至る状態。
治療:輸液、昇圧剤(主にα作用のあるノルアドレナリンの使用)
3)心原性ショック
疾患:心筋梗塞、心不全、たこつぼ心筋症
心筋の障害により、十分な血液の駆出ができない状態。
治療:冠動脈の再開通(PCI、CABG)、循環作動薬(主にβ作用のあるアドレナリン、ドブタミン)、利尿薬投与
4)拘束性ショック
疾患:肺血栓塞栓症、緊張性気胸、心タンポナーデ、収縮性心膜炎
心臓が十分に拡張できるスペースを確保できない状態。または、何らかの原因で左心へ戻る血液の交通が妨げられ(塞栓など)、駆出できる血液を確保できない状態。
治療:外科的血栓回収、アルテプラーゼ(tPA)投与、拘束物の解除(脱気、脱血)、外科的心膜切除
これらを、想定しながら原因検索や対処療法を行い、適切な治療を行なっていきます。
敗血症
D:頭蓋内疾患
一次脳損傷と二次脳損傷
意識障害
めまい ★昨年は特に出題が多かったです。
めまいの種類
①回転性めまい
訴え:「目の前(天井)がぐるぐる回る」
随伴症状:嘔吐、悪心
特徴:突発的に発症。短時間でおさまる
②浮動性めまい
訴え:「ふわふわする」「ふらふらする」
随伴症状:姿勢保持困難、歩行困難、頭痛、肩こり
特徴:安静時も治らない。長時間持続
③失神性めまい
訴え:「目の前が暗くなる」「気が遠くなる」「気を失いそうになる」
随伴症状:目の前が一瞬暗くなる、意識消失
めまいの原因
基本的には、『回転性めまい』を呈するものが多く、眩暈の種類のみで疾患を特定するのは困難です。
そのため、随伴症状やフィジカルをしっかりと問診や観察し、アセスメントへ繋げることが重要です。
①中枢性の前庭性めまい(中枢性めまい)
特徴:脳内(中枢)の障害により、情報を正しく処理できなくなり生じる。めまいの中で重症度、緊急度の高い分類。
眩暈の種類:回転性めまい
疾患:脳血管障害、脳炎、髄膜炎(特に小脳が障害された場合に強くめまいが生じる)
②末梢性の前庭性めまい(末梢性めまい)
特徴:内耳や三半規管の障害により生じる。基本的に対処療法。
眩暈の種類:回転性めまい
疾患:突発性難聴、メニエール病、良性発作性頭位めまい
③その他
特徴:一時的な脳の虚血による酸素欠乏や、糖不足など脳が正常に機能するのに必要なものが欠乏する際に生じることが多い。
眩暈の種類:疾患によって異なる。心疾患(不整脈)による脳虚血が原因の場合、『失神性めまい』を呈する。糖や酸素の不足の場合は『浮動性めまい』と考えると良い。
疾患:心疾患(不整脈)、起立性低血圧、低血糖、貧血、薬物の副作用、心因性
頭痛の種類
頭痛の分類は必ず出ると思います。『原因が不明』or『疾患による症状で頭痛が生じている』のかが半別のポイントです。
①一次性(機能性)頭痛
原因が見当たらない『頭痛そのもの』が病気の頭痛。
疾患:a.典型的片頭痛:前兆がある片頭痛
b.普通型片頭痛:前兆がない片頭痛
c.緊張性頭痛:頭痛の全体の80%を占める頭痛。午後〜夕方に強くなる。
d.高血圧症による頭痛:後頭部〜頭頂部にかけて起こりやすい。(頭部全体に起こることもあり)早朝に多く、1〜2時間継続し起床と共に軽減する傾向がある。
②二次性(症候性)頭痛 = 頭蓋内病変(くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎など)
他の疾患が原因となり、発症している頭痛。①疾患の発症→②頭痛の発症と考え、2STEP(二次性)で起こる頭痛と考えましょう。
失神
痙攣発作の障害部位と症状
痙攣とは、発作性に起こる筋肉の不随意運動で急激な収縮が起こることです。局所の痙攣から、全身の痙攣まであり、原因も様々です。
必ずしも脳の疾患が原因で生じるわけでありません。
正常な骨格筋は、下記の順番に電気信号が送られて生じます。
①大脳皮質
↓
②小脳
↓
③脊髄
↓
④末梢神経
↓
⑤神経筋接合部
↓
⑥筋肉
この順番で、電気信号が送られ筋肉が収縮するという仕組みです。このどこかの過程で異常な興奮が生じると、そこから先に異常な電位が伝わり、筋の不随意で急激な筋肉収縮が生じ痙攣となって出現するというメカニズムです。
1)痙攣の原因疾患
①脳神経の障害
・てんかん a.特発性てんかん:原因不明
b.症候性てんかん:脳神経系の病態により引き起こされるてんかん
・脳挫傷
・くも膜下出血、硬膜下出血
・脳梗塞
・脳炎
・脳腫瘍
②その他
・電解質異常 … 血清Na値:1361mEq/L未満
・血糖異常 … 血糖50mg/dL以下 or 600〜800mg/dL
・低酸素血症
・腎不全
・薬物中毒
・熱性けいれん
2)痙攣発作の種類